「帰ります」という、認知症の方への対応方法について

○記事の目的○
事例を通して、帰宅願望のある施設利用者との関わり方について考察し、支援に役立てたら、幸いです。

○登場人物○
Aさん→施設で数年暮らす認知症の高齢女性
B職員→新人職員
C職員→ベテラン職員

○事例内容○

「帰ります。」
施設で暮らす、Aさん。
日が暮れると、いつも施設から自宅へ向かおうとします。
B職員は、
「Aさんのお家はここですよ。泊まっていきましょう。」と声をかけます。
するとAさんは、
「私の家は、ここじゃないの!いいから、帰して。」
と、怒りだします。
外に出られたら、危険と思ったB職員は、「今日は、ここに泊まることになってますよ?リビングに戻りませんか?」と声をかけます。
その言葉で更に怒ったAさんは、
「帰るって言ってるでしょう!?いい加減にして!」
と、大声を出し、施設の玄関に向かおうとします。
大声を聞いたC職員が、その場に駆けつけAさんに話かけます。

C職員、以下C
「Aさん、どうしたんですか?」
Aさん、以下A
A「帰ろうと思ったのに、この人(B職員)が『ここが家だ から、ここに泊まっていけ』って訳わかんないこと言うから。とにかく、帰ります。」※1
C「Aさんの自宅は○○ですもんね?」
A「そうよ。あんた、よくわかるわね?」
C「今朝、車でお迎えにいったのでわかります。」
A「なら、悪いけど。送ってもらえないかしら。」
C「私は、後2時間ここから離れられないので、送るとしたら、それからになりますよ?それから、朝お迎えに行ったとき、娘さんと『今日は泊まってくる。』って、お話してませんでしたか?」※2
A「あら、そんなこと、言ってた?」
C「娘さんと、話してましたよ?」
A「あら、困ったわ。」
C「何か困りましたか?」
A「部屋の雨戸、閉めてきたかしら?」
C「朝、一緒に閉めてきましたよ。」
A「そうだったかしら?」
C「朝、雨戸を一緒に閉めて、娘さんと、泊まってくる約束してましたよ?」※3
A「それなら、泊めさせてもらいますね。」
C「ぜひ、そうしてください。夕食の準備ができるまで、リビングでお待ちくださいね?」
A「わかりました。よろしくね。」

C職員と話すことで、Aさんは無事?に施設に泊まることができました。
この3名のやり取りから、見えてくる認知症の方への対応方法について、考えます。

○考察○
※1について
B職員に対し、激怒したAさん。
これは、Aさんの事情を考えることで、背景が見えてきます。
(事実とは違うとしても)Aさんにとってみれば。今朝、自宅を出で、施設に遊びに来た感覚です。日中遊んで、夜、自宅に帰ることは、生きていて不思議なことでもなんでもないことと思います。
そこで、「施設が家」「今日は泊まっていきましょう」と言った、B職員に対し、「何で?」と混乱し、不安から怒りをぶつけたのではないでしょうか?

※2について
C職員はAさんに対して(全てが事実ではないが)①自宅を知っていて迎えに行っていること②娘さんと泊まる約束をしていたことを伝えています。
①を伝えることで「Aさんのことを知ってますよ」というメッセージを送り安心感を与えられます。また②を伝えることで、Aさんが信頼している人と約束をしてたことを理解してもらいます。
認知症の方にとって、信頼している人(家族等)からのメッセージは、安心して聴ける場合が多いです。

※3について
娘さんとの約束と思い、少し帰るかどうか迷い始めたAさん。更に「困った」と言っています。そこでC職員は、何に困っているかを聴き「雨戸が気になっていること」を知ります。
そこで「しっかり閉まっていた」ことを伝え、安心して泊まれることを伝えます。
雨戸の不安が解消され、娘との約束だと理解したAさんは、納得してリビングに戻りました。

○まとめ○
・認知症の方の事情(何で帰るのか?等)を理解した上で、本人が納得できる方法を話し合う。
・認知症の方が怒る根本には、不安があることを理解する。
・認知症の方の不安や気になる部分を聞き出し、解消する。
・認知症の方の信頼している人を活用する。

こうした目線で、関わることで。
認知症の方も、周りの方も、今以上に負担なく、過ごせていけたら、幸いです。

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