老人ホームは寂しがり屋さんがいっぱい

私は有料老人ホームで働いています。
有料老人ホームは、ちょっとお金のある人たちが入居されます。
ずっと仕事をされてきた方、元社長、元政治家など、少しプライドの高い方も。
だからちょっとしたことでもクレームをつけてきますし、話し方一つとっても丁寧に伺わなければなりません。
でも、そんな方々ですが、寂しがりやなことが多いです。
なぜなら、これまで仕事でずーっとたくさんの人たちに囲まれてきたから。
そこからいきなり、老人ホーム、しかも有料の良いところであるために個室で一人きりになってしまったのです。
それは寂しいのは当然でしょう。
だから私たち以上に寂しがり屋さんなのです。

私が経験してきた、寂しがり屋さんたちの話をします。
一人目のおばあさま。
この方は女性ながらに元社長。
勝気で強気で元気な方で、笑い方は「がはは」と豪快に笑います。
日中はこんな感じで、大変明るい方なのですが、
夜になると不安になるようです。
ナースコールを連打し、「のどがかわいた」「トイレ」「眠れない」と、次から次に理由をつけては、職員を呼び出します。
たいていの場合は、別にのどがかわいているわけでもなく、トイレに行っても尿は出ないし、
眠れないと言うのに職員が居室へ伺うとベッドに座った状態で、眠ろうともしていないのです。
あー、寂しいんだな、と我々は察します。
そして5分から10分、たったこれだけでもお話してあげる。
そうするとおばあさまは笑顔になり、「ありがとうね、もう寝るわ」とベッドに戻られるのです。
介護士にとって5分や10分は他の仕事もあり貴重な10分なのですが、
それでも強い睡眠薬で無理やり寝かせてしまうよりは、と、我がホームではこのように対応していました。
これは夜だけ不安になるおばあさまのお話。

二人目はおじいさまです。
このおじいさまも元社長。戦争にも行き、今の日本を根底から作り上げた世代ですから、それはそれはパワフルです。
が、入居された当時は元気だったおじいさまですが、
元気な様子なことでご家族様が「もうホームに慣れたな」と判断されたのか、あまり来設されなくなりました。
このパターンは結構多く、最初は心配で頻繁に来られていたご家族様が、ほとんど来なくなることがよくあります。
おじいさまはそのへんから元気をなくし、食事もあまり取らなくなってしまいました。
そんなある日の話です。
私が「お食事ですよ」とお部屋へ伺うと、「要らないよ」と言うおじいさま。
そしてこう続けました。
「お姉さん結婚してくれよ。俺、資産1億円あるんだよ」と。
私はこう返しました。
「まあ嬉しい!でもご飯も一緒に食べてくれない人は嫌だなぁ」と。
するとどうでしょう、いつもは私たちが車椅子で無理やりのように連れて行くおじいさまが、自らの足で食堂に向かいました。
そしていつも1割程度しか食べない食事をなんと完食し、私に「どうだ!」と嬉しそうに空の食器を見せてくれたのでした(笑)
プライドの高いおじいさまやおばあさま達ですが、老人ホームは冗談とノリで解決できることが結構あります。
もちろん私は結婚していません(笑)
そんな寂しがりやさんたちのお相手をする老人ホームでのお仕事。
もし働くことになったら、寂しがり屋さんなんだな、と思って優しく接してくださいね。
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