認知症高齢者のへの対応と気持ちの変化

以前私が勤務していたデイサービスでは、ほとんどの方が認知症でした。今の日本では、認知症の方の割合がどんどん多くなっているので、どの施設でも認知症の方がほとんどだと思います。
認知症の方の問題行動は様々ですが、中でも一番多かったのは帰宅願望でした。認知症の方はいつも新鮮な気持ちで、何もかもが初めての経験なので、毎回デイサービスに来初されても「ここはどこか分からない」「来た事が無いから何だか怖い」といつも不安な顔をされていました。テーブルに座っても落ち着かず、女性のご利用者様は「なんで家に帰れないの?私は主婦だからご飯を作ったり、色々家事をしないといけないから忙しいの!」と言われ怒って玄関の方へ行く事もありました。その様な時は、スタッフが玄関まで一緒に付いて行き、昔されていたお仕事や家事の事などについて傾聴しながら一緒にお話をし、少しずつ話を逸らしてお席まで誘導していました。
一人のご利用者様が不穏になると、それが伝染していくかのように次々と他のご利用者様が不穏になって立ち上がったり、「私も帰りたい」と言い出したり、という過程が始まっていきます。その現象が起きる前に、スタッフはご利用者様の言動に注意しながら見守りや介助を行う必要があります。


また元々仕事が好きなご利用者様などは、3分置きに立ち上がっては、テーブルの上に置いてあるゴミ箱や湯呑み、花瓶などを片付けておられました。続けて別のテーブルのゴミ箱まで片付けようとされ、そのテーブルのご利用者様が怒って喧嘩になりそうな時もありました。未然に防ぐ対策として、そのご利用者様にとってのデイサービスでの仕事をいつもして頂いていました。いくつもの工程がある作業などはご利用者様を余計に混乱させてしまい、さらに不穏な気持ちになるので、単純作業をお願いしていました。例えば、新聞を一枚一枚剥がして四つ折りにしていく作業や、スタッフが作った工程表を見ながらして頂く折り紙、ちぎり絵を作る為の折り紙をちぎって頂いたりなどです。そのような仕事をして頂く事で、ご利用者様も自分にもできる仕事がもらえたと嬉しそうにされ、気分が落ち着かれていました。
次に多かった問題行動は、入浴時の拒否でした。服を脱ぐという作業が面倒くさい、風邪をひいたから入りたくないと毎回言われるご利用者様が多く、入浴介助は難しく感じていました。しかし、ご利用者様のご家族は「家で入れていないから、デイサービスで何とか入浴して欲しい」という希望がほとんどです。清潔に気持ち良く過ごしていただくのが介護の基本なので、バイタルが悪い場合などを除いて、スタッフとしては何とかご利用者様に入浴して頂けるように努力しないといけません。ほとんどのご利用者様は、服を脱ぎさえすればすんなりと入浴して下さるのですが、それまでの声掛けや介助が必要です。時には、無理やりスタッフが介助して服を脱いで頂いたり、「体重を測るので、看護師さんに体の状態を見てもらわないといけないので」と説得したりしていました。ご利用者様が嫌々入浴するのを見て、胸が痛く感じる場面もありましたが、その先にある入浴して頂く事への喜びやご家族の気持ちを考えると、無理やりという方法も行わなければなりませんでした。しかし、お風呂から上がってきたご利用者様は必ずと言って良いほど、「あ~気持ち良かった。朝からお風呂に入れてもらって幸せね~!」と笑顔で脱衣場に戻って来られます。それを見ると本当に安心しますし、入浴にお誘いするまでの努力が実った気持ちがしてとても嬉しく感じていました。
こうした、ご利用者様にとっての新鮮な気持ちはスタッフにとっても同じです。毎日違う出来事が起こりますし、毎日同じ接し方ではご利用者様の気持ちを損なってしまう事があります。そういう面では、毎日が挑戦、新鮮な出来事です。
ご利用者様は、もちろん一人ひとり性格や個性があるので、そのご利用者様に対する個別の介護が必要になってきます。一番安心されるのは、ご利用者様が介護施設内でのご自分の意義を見つける事だと思っています。介護施設に来る事によって存在意義がさらに確立され、自信や安心に繋がると問題行動も少なくなっていくのを少しずつ実感していきました。ご利用者様一人ひとりに合った介護、という意識を常々考えに持ち、ご利用者様の気持ちに寄り添った介護ができるようにスタッフが努力していく事が大切だと思っています。

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