アルツハイマー型認知症がある女性

 82歳になる女性が、施設へ3泊4日のショートステイを利用しました。
その女性は、要介護2の認定を受け、アルツハイマー型認知症を患って
いましたが、とても温厚な方で、誰にでも気さくに話しかけてくれる
方でした。
 認知症状は特にみられることがなく、1泊、2泊と何事もなく過ごし
ました。少し変化があったのは、3泊目の夕方でした。夕食の準備を
していた時に、女性から「私はいつ帰るのかしら?」と顔をしかめて
聞いて来られました。「明日お帰りなる予定ですよ」と伝えると、
本人「あら、そうなの。ここでお世話になって時間が経つのは早い
ものですね」と、いつもの穏やかな口調で話してくれて、翌日帰宅
されました。

 1ヵ月後、その女性が再びショートステイの利用をすることに
なりました。今度は同居家族の事情から、長期間利用することになり
ました。挨拶を交わすと、以前のように穏やかな口調で挨拶を
交わしてくれました。職員や他の入所者とも笑顔で会話する様子がありました。
 
 しかし、次の日の夕方、「私はいつ帰るの?」と言い出しました。
長期間の入所になる予定であることを説明すると、
「そうですか。わかりました」と納得され自室へ戻っていきましたが、
数時間後に「いつ帰るの?」との発言が再びありました。説明すると
納得され、その後は就寝されましたが、翌日の朝から落ち着きがなくなり、
「帰らして下さい」と声を荒げて興奮される様子がありました。
穏やかで社交的だった女性とは別人のようでした。とにかく落ち着いて
もらい、穏やかになってもらえるよう、話の話題を変えたり、施設の中や
外を歩いて気分転換を図ることを行いました。
 (思えば、2回目のショートステイ利用時に、持ち物の確認中に、
何気なく今日の日付を聞いた時、以前はすぐに回答できましたが、今回は
なかなか回答できませんでした。また、身だしなみが以前との時より
汚れて衣類の乱れも少しありました。わずかなことですが、たしかに以前とは
少し違う様子がありました。自宅で介護をされていたご主人からは、1回目の
ショートステイ利用後から、自宅では時間や場所・人の名前などの物忘れが
増えたとの話も伺っていました)

 毎日その女性からは「いつ帰れるの?」と聞いてくる言葉が日常となりました。
職員としては、同じ言葉を毎日言い続けられると、ストレスが溜まります。
こちらも人間であるため、イライラすることも正直ありましたが、職員間で
話し合いを持ち、アルツハイマー型認知症を勉強して理解すること。そして、
その女性の生活歴から、趣味嗜好などを皆で把握して、本人に寄り添うことを
心掛けました。その女性の主治医とも連携して日々支援をしました。
 
 
 現在、その女性は施設に入所しております。2回目のショートステイ利用時に
妻を支えていたご主人は亡くなり、2人暮らしで子供がいなかったことから、
親類の方と相談して施設入所になりました。

 今でもその女性から「私はいつ帰れるの?」と聞かれることがあります。
その時はゆっくり話をしながら、車でその女性宅まで行きます。少しの時間を
過ごすと、女性の方から「そろそろ帰ろう」と言ってくれて施設に戻ります

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