温度と湿度の管理で風邪をひく人が激減!その理由とは?

「風邪は万病のもと」と言われるように、風邪がもとで体調を崩すことはよくあります。特に高齢者は抵抗力や免疫力が低いため、肺炎などの重い合併症になり生命に危険を及ぼすリスクが高まります。

感染対策の基本は、「持ち込まない」「広げない」「持ち出さない」といわれます。介護施設のほとんどは、厚生労働省より平成25年3月公表された「高齢者介護施設における感染対策マニュアル」に基づいて感染対策を行っています。その中で、感染の様式は、「接触感染」、「飛沫感染」、「空気感染」の三様式に分けられています。施設では、外部からの感染対策として手洗いやうがいの励行、マスクを無料または有料で配布したり着用のポスター等を貼ったり、手指消毒用のアルコールを置いたりしています。それでも、毎年風邪やインフルエンザ、肺炎、食中毒などが発生しています。介護施設は、家族や面会者などの出入りや食べ物などの持ち込みが比較的自由です。その中には、マスクの着用をしなかったり、手指消毒をしない方もいらっしゃいます。その点、外部から持ち込まれる感染症が、発生し拡散する機会は医療機関より多いと言えます。

そのような状況で、「空気感染」対策として加湿器を使用した温度と湿度管理により一時的な購入費の発生、若干職員の手間と電気代が増えましたが、効果があった事例についてご紹介したいと思います。

目に見えない脅威「飛沫核」
空気中には、ほこりやダニ、細菌などがいると言われます。その中で、感染を引き起こすのは、結核菌、麻疹ウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルスの三種類だけと言われます。しかし、毎年のように騒がれるのは、風邪やインフルエンザです。特に、インフルエンザは感染性の強さから注目されています。

インフルエンザは、くしゃみなどで体の外に放出され感染する「飛沫感染」であることはよく知られています。最近では、飛沫だけではなく大量の飛沫(大きさ5ミクロン以上)の中で、ウイルスを含んだ飛沫が直径2ミクロン以下になると空気中で水分が蒸散し乾燥、縮小して「飛沫核」という最小の形になり、感染をおこすことから「空気感染」への対策も考えなければならない状況になっています。「飛沫核」は、感染性を保ちながら、長時間空気中を漂っています。その大きさは、0.3ミクロン以上と言われています。インフルエンザウイルスの大きさは、A型B型C型問わず直径0.08~0.12ミクロンと言われます。

家族や面会者などの多くは、乗り物の中や病院などの密閉空間や人混みの中でインフルエンザウイルスを吸引する可能性が高く逃れようがありません。花粉症やPM2.5などの影響もあり、最近は外出時にマスクを着用される方が多くなりました。しかし、市販のマスクは、不織布製がほとんどです。補足粒子の大きさは、5ミクロン以上で捕捉可能粒子は「飛沫核」のもととなる飛沫までです。医療用のN95マスクでさえ、捕捉粒子の大きさが0.3ミクロン以上で捕捉可能粒子は「飛沫核」です。インフルエンザウイルスの感染をマスクによって防ぐなら、ナノフィルターマスク(捕捉粒子0.03ミクロン以上、捕捉可能粒子ウイルス)以上のマスクの着用が必要です。

風邪の合併症
風邪には、ライノウイルス・アデノウイルス・コロナウイルス RSウイルスなどが原因の普通感冒があります。現在では、風邪とインフルエンザは区別して考えられることが多いようです。高齢者の場合、感染から発病へ至るリスクが高く、特にインフルエンザやRSウイルス感染症は注意が必要です。肺炎や心不全を合併すると生命に危険が及ぶ確率が高くなります。風邪の合併症には、最も頻度の高い肺炎、髄膜炎、中耳炎、結膜炎、副鼻腔炎などがありますが。肺炎は、風邪により破壊された呼吸器粘膜から二次的に、細菌(ぶどう球菌・インフルエンザ桿菌・肺炎球菌・レンサ球菌など)が感染することで引き起こされます。肺炎の合併はインフルエンザの時に頻度が高いです。インフルエンザには、治癒したと思ってから、3~10日後に発症するインフルエンザ後肺炎もあります。髄膜炎は、エンテロウウイルスが全体の90%、他にアデノウイルス、ムンプスウイルスなどの感染が原因です。高熱・頭痛・嘔吐・項部硬直などの髄膜刺激症状が出ます。中耳炎は、風邪を引いた後に耳を痛がったら可能性が高いです。結膜炎の合併症は、鼻腔と眼をつなぐ管(鼻涙管)の細菌感染などをおこしたときになることがあります。また、鼻腔にいるウイルスや細菌に副鼻腔の粘膜が感染し、副鼻腔炎になることもあります。

感染症対策としての適正温度と湿度の管理
「空気感染」による感染症を防ぐため、温度と湿度による管理は非常に効果があります。人間が快適に感じる温度は、夏は25~28℃で冬は18~22℃と言われます。また、湿度は、夏は55~65%で冬は40~60%と言われます。施設における適正温度と湿度決めるため、以下の内容を考慮しました。

・体感では、夏は室温が28℃であっても湿度が50%なら涼しく感じ、冬は室温が22℃であっても湿度が50%なら暖かく感じると言われます。
・睡眠時の室内の湿度は50~60%くらいまでが最適と言われます。
・鼻や喉の口腔粘膜が、適度な湿度を保ち、濡れていて、ウイルス撃退ができるのは湿度40%以上です。それ以下になると、粘膜が乾燥し、粘膜によって保護されていた細胞がむき出しとなり、ウイルスの直接的な侵入を許してしまいます。
・肌に良い湿度は、60~65%です。湿度50%以下になると、お肌がじわじわと乾燥しはじめます。
・疲れ目・眼精疲労の原因であるドライアイ予防には、湿度を50%いかにならないようにします。
・インフルエンザウイルスは、温度22℃湿度50%以上だと減少します。湿度40%未満や湿度20%以下であれば室温22℃以上の気温でも生存率は高くなります。
・カビの繁殖は、室温20~30℃、湿度60~70%以上と言われます。
・ダニは、室温25~30℃、湿度60~85%で活発に活動すると言われます。
・熱中症は、室温28℃以上、湿度70%以上で発症する。
・政府の省エネ推奨温度は、夏28℃、冬18~20℃とされています。

その結果、適正室温が夏25~28℃の間で冬22~28℃の間、適正湿度50~60%で管理することになりました。温度に幅があるのは、高齢者は寒く、職員が暑いなど条件が異なるためです。
適正温度と湿度の管理を行うために、温湿度計の設置が不可欠です。設置場所は、直射日光が当たらず冷暖房器具、加湿器などから離れた場所に、床から高さ1.5メートルくらいで設置しました。金額は、職員が見やすいよう大きめのものを購入しましたが1500円程度でした。また、チェックシートにより管理を行いました。

加湿器の活用
冬は、これまでも加湿器を使用してましたが夏は、使用してませんでした。しかし、夏もクーラーの影響で乾燥していますので、肌や喉の不調、夏風邪、水分の過剰摂取の原因となります。加湿器は湿度管理だけでなく、温度を下げる効果もありました。水分が蒸発する際、周りの熱も奪うからです。これまで使用していた加湿器を改めて選定するため、それぞれの加湿器の特徴を比較しました。

ハイブリッド方式
メリット  やけどの心配がない、加湿能力高い、広い面積加湿できる、消費電力も低く温風、送風に切り替え可能など
デメリット 本体価格高い、フィルター(消耗品)交換必要など

気化式
メリット  やけどの心配がない、消費電力低いなど
デメリット 本体価格高い、加湿能力低い、フィルター(消耗品)必要、ファンがうるさいなど

超音波式
メリット  やけどの心配がない、消費電力低い、高温にならない安全性、次亜塩素水使用可能など
デメリット 本体価格安い、壊れやすい、細菌が繁殖するため頻繁に掃除が必要、水分中のミネラル分も飛ばすので白い粉が出るなど

スチーム式
メリット  本体価格安い、加湿能力高い、広い面積加湿できる、蒸気なので細菌が死滅し衛生的など
デメリット 消費電力高い、やけどの危険性、ミネラル分が残るため頻繁に掃除が必要

安全性や職員の手間、面積などから結果的に、ハイブリッド式加湿器を購入する事にしました。加湿器のスペックは、適用範囲 40畳(70㎡)ぐらい、タンク4.5リットル2本、6時間加湿4回給水、設置台数は、4人部屋1台、食堂など面積に合わせて2~3台でした。個室については、面積が狭いので超音波式や気化式を使用しました。

まとめ
加湿器の選定は、安全性、掃除や給水の手間、適用面積、加湿能力、購入単価やランニングコストなども考慮した上で行わなければなりません。最近は、介護施設などに向けて大型の加湿器のレンタルもあり、場所によっては購入するより費用を抑えられる場合もあるようです。温度と湿度の管理でインフルエンザを予防することは、家庭でもできる効果的な方法です。試す価値ありです。

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