「認知症高齢者の問題行動」

 まず、精神的に弱い人にとって認知症高齢者の行動全てが
問題行動に見えると言って良いでしょう。逆に心が強い人や
ベテラン職員様にとっては全く問題ではなく日常です。
 私が初めて働いた施設はデイサービスで、
「誰が認知症ですか?」と聞いたことがあります。
 「そう見えないかもしれないけれど、利用者様全員が
認知症です」と応えてくださいました。ベテラン職員だったので
認知症をわかっていない人と見られたでしょう。
 物盗られ妄想が激しい利用者様がいましたが、見ただけでは
全くわかりません。思い出すと地獄の日々でした。介護職で、
特に現場で働いている人は本当に尊敬します。
 私の中で記憶に残っている利用者様が二人います。
 一人はピック病のA様です。ピック病と診断されることは稀で
アルツハイマーとされることが多いらしく、他のベテラン職員も
驚いていました。「講演会や本でピック病の名前は見るけれど、
実際に話すとピック病=A様っていうくらいわかりやすい」とのことです。
 それくらい症状のはっきりしたA様でした。
 問題行動として、物盗られ妄想と感情の揺れ幅が大きいことです。
数秒前までの気分は覚えていないようで、感情がそのまま出てます。
逆鱗に触れたかと思ったら3秒後には笑顔になっているので
わかりやすい反面、家族様は大変な思いをされていると聞きました。
 A様は高校教師でピック病を発症する前はとても華々しい生活で、
何よりも周囲からのとても慕われていたそうです。そんなA様が
ここまで変わってしまうなんてと嘆く人も多いと聞き、複雑な気持ち
になりました。私は今のA様しか知らないからです。高校教師をして
いたときのA様はどんな人だったのだろうと今でも考えます。
 
 二人目は家族様から虐待を受けていたB様です。長女様と同居されていて、
保護の後、施設入所となりました。服で隠れるようなところに痣がみられ
るようになったあと、服では隠れないような顔にも痣が出来ていました。
虐待の証拠を隠さなくなってから二週間もなかったように思います。家族様も
隠す気がないということは、何らかのSOSと捉えた方が良いです。
 B様に大きな問題行動はなく、いつもにこにこされていましたが、
長女様は幼いころから虐待を受けていたそうです。「立場が逆転した今、
ストレス解消としています。何か問題でも?」とB様からの言葉で何も
言えませんでした。私もそれは同じだからです。
私が長女様の立場になったら同じことをするでしょう。いつか必ず立場は
逆転してしまいます。そういう意味でBさんの件は今でも覚えています。
 長くなりましたが、認知症高齢者の問題行動をどう定義するかは実際に
働く職員の気持ち次第だと思っています。
問題を発見したからといって自分で何か解決しようと思わないほうがいいです。
 職員一人に出来ることなんてたかが知れています。ただ、発見した問題は
しっかりと報告し、連携をはかることで状況は良くなったりします。
AさんとBさんのそれぞれの問題に関しても私はただ状況を把握するしか出来ませんでした。
 また介護職に戻らないかと話はいただきますが、多分私の気持ちがついて
いかないと思います。それくらい大変な毎日でした。”

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